技術案内

技術案内‐研究経過など

1.エアロゾル化ガスデポジションPDF

 エアロゾル化ガスデポジション(AGD)法について簡潔にその歴史的経緯について述べる。

 

2004年~ アルミナ、ジルコニア膜の形成とその評価、そして成膜メカニズムの探求

 (有)渕田ナノ技研は真空冶金㈱からAGD技術の事業移管を受け、アルミナ、ジルコニアなどのAGD成膜を始める。特にジルコニア膜は、多くの応用分野があるにもかかわらず、そのAGD成膜の論文がない状態であった。ただ、2件の特許出願が公開されており、その当時アルミナ成膜で使用していた0.5μm程度の粒子サイズで、緻密膜が形成できるとの記述であった。そこで、その記載通りに成膜を試みたが、緻密膜が形成出来ず、擦れば脆く剥がれる圧粉体となった。
 その成膜の失敗から、2007年に本研究開発が始まった。ジルコニア粉の製造メーカーである第一稀元素化学工業(株)の協力のもと、粒子サイズおよびその比表面積の異なる市販品の10種類以上のジルコニア粉を入手し、多くの成膜条件で成膜を試みた。その結果、緻密膜を形成するためには、使用粉の粒子径と比表面積において、極めて限られた条件のみが有効であることが明らかとなった。粒子サイズ0.7μmから10μmまで、比表面積6.5m2/g以下のジルコニア粉で緻密膜が形成できた。また、室温成膜にもかかわらず純ジルコニア粉をAGD成膜した膜に高温相の正方晶が検出された。

 

2011年~ アルミナ、ジルコニア膜の成膜メカニズムの探求

 (有)渕田ナノ技研にて、ジルコニア成膜中に発光現象(プラズマ現象)を観察した。発光現象のメカニズムなどを究明し、摩擦帯電による荷電粒子の飛来による成膜メカニズムを探求した。
 その成膜メカニズムの解明と共に、新規エアロゾル化ガスデポジション成膜方法を考案し、アルミナのナノ構造緻密膜の形成を成した。2013年11月、新規アルミナAGD膜で、バルクの20倍の絶縁破壊電界強度を得た。またその成膜速度はスパッタ法より20倍速い。(新規AGD法によるアルミナ膜;絶縁破壊電界強度3MV/cm、成膜速度200nm/min)
 現在、鋭意研究開発中である。

 

(文献)

(1)渕田英嗣,“ナノ粒子を使用したガスデポジション成膜装置とその応用”, エアロゾル研究, 22 (2007)26-33.[PDF

(2)E. Fuchita, E. Tokizaki and Y. Sakka,“Formation of Zirconia Films by the Aerosol Gas Deposition Method”, J. Ceram. Soc. Jpn., 118 (2010)767-770.[PDF

(3)E. Fuchita, E. Tokizaki, E. Ozawa and Y. Sakka,“Formation of Zirconia Films by Aerosol Gas Deposition Method Using Zirconia Powder Produced by Break-Down Method”, J. Ceram. Soc. Jpn., 118 (2010)948-951.[PDF

(4)E. Fuchita, E. Tokizaki, E. Ozawa and Y. Sakka,“Appearance of high-temperature phase in zirconia films made by aerosol gas deposition method”, J. Ceram. Soc. Jpn., 119 (2011)271-276.[PDF

(5)E. Fuchita, E. Tokizaki, E. Ozawa and Y. Sakka:“Formation of Zirconia Films by the Aerosol Gas Deposition Method (by Jetting of Positive Charged Powder)”, J. Jpn. Soc. Powder Metallurgy, 58 [8] (2011) 463-472 (in Japanese).[PDF

(6)E. Fuchita, E. Tokizaki, E. Ozawa, H. inoue, Y. Sakka and E. Kita,“High-Temperature Phase in Zirconia Film Fabricated by Aerosol Gas Deposition and Its Change upon Subsequent Heat Treatment.” J. Ceram. Soc. Jpn., 121 (2013) 333-337.[PDF

 

2.ガスデポジションPDF

 1981年に、科学技術庁の外郭団体である新技術開発事業団の創造科学技術推進制度で林主税がプロジェクトリーダーを務める「林超微粒子プロジェクト」がスタートした。このプロジェクトの中でガスデポジション法という成膜プロセスが考案された。

 

(文献)

(1)S. Kashu, E. Fuchita, T. Manabe, C. Hayashi,“Deposition of Ultra Fine Particles Using a Gas Jet”, Jpn. J. Appl. Phys., 23 (1984) L910-912.[PDF

(2)渕田英嗣, 小田正明, 林主税, “超微粒子による新しい膜形成法 -ガスデポジション法-”, まてりあ, 34(1995)455-460.[PDF

(3)渕田英嗣,“ナノ粒子を使用したガスデポジション成膜装置”,S-ナノテクプロジェクト研究会 (島根大学、2005年3月8日)[PDF

 

3.ナノ粒子(超微粒子)の作製法PDF

 ナノ粒子の作製方法として、化学的手法と物理的手法があり、物理的作製手法ではガス中蒸発法が研究開発され、この方法の加熱法として、(1)抵抗加熱、(2)高周波誘導加熱、(3)レーザー加熱、(4)アーク加熱、(5)その他プラズマジェット加熱、電子ビーム加熱、スパッタリング法、アークプラズマスパッタリング法、流動油面上真空蒸発(VEROS)法、通電加熱法、ハイブリッドプラズマ加熱法などが開発された。

 

4.カーボン粒子PDF

 ナノ粒子研究は、金属ナノ粒子から始まったが、カーボン系の粒子におけるフラーレンの発見からさらに飛躍的な発展を遂げた。すなわち、1996年のノーベル化学賞を受賞したSir Harold Walter Kroto, Richard Errett Smalley, Robert Floyd Curl Jr.らによるフラーレン(C60)の発見(アーク加熱式ガス中蒸発法を参考にし試料を作製している)、1991年の飯島澄男によるカーボンナノチューブの発見(通電加熱式ガス中蒸発法で作製した試料内で見つかった)に繋がり大ブレークした。そして、2000年の米国クリントン元大統領のナノテクノロジーを国家戦略プロジェクト(NNI :National Nanotechnology Initiative)に取り上げることに繋がった。